初めにあなたを認めたのは
冬の明るい三階の廊下
あなたはひとり、階段に立っていた
「その制服を着るのも、あと少しね」
そう声をかけられるのを聞いて
あなたは春に去るのだと知った
あなたはなんと答えただろう
あなたはなんと答えただろう
 
初めにあなたと話したのは
夕暮れ時の図書室でのこと
あなたは私の名前を聞いた
似合っていると言っていた
私はなんと答えただろう
私はなんと答えただろう
 
最後に声を聞いたのは
冬と春が揺らぐ曇りの日
廊下にあなたの気配を感じても
私は振り返ることもできず
振り返ることもできず
 
あなたは今も
同じ眼をしているだろうか
あの日と同じように
今も、どこかの階段で